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生活上のストレスや環境の変化によって、

●月経前の症状は強くなります。

 月経前の不快な症状は、生活上のストレスなどが加わることによって、さらに強まることがあります。

 例えば、就職、転職、結婚、失恋、離婚、などの環境の変化が起こると、それがストレスになって、眠れなくなったり、イライラしたり、憂うつになることがあります。このような状況に月経による卵巣ホルモンの変動が重なると、月経前の症状がより強くなります。

 また、「人間関係のストレス」、「仕事のし過ぎ」、「過労」、「睡眠不足」、「偏った食生活」などの慢性的なストレス状態が続くと、月経前の症状が増幅されて感じられ、憂うつ感や不安感を強めることがあります。


●月経前の症状で、あなたは生活に支障をきたしていませんか?

 月経前にからだやこころに症状が現れる女性は少なくありませんが、そのような症状が生活に支障をきたすようになる場合を、「月経前症候群」と言います。

 月経前症候群は、英語でPremenstrual-Syndromeといい、最近ではその頭文字をとったPMSという呼称でも知られるようになってきました。

 月経前症候群(PMS)については、明確な診断基準がないのが現状ですが、アメリカ精神医学会は、月経前症候群(PMS)の中でも、こころの症状を主体とした重症型を「月経前不快気分障害(PMDD)」として、その診断基準(案)を提案しています。

 この、「月経前不快気分障害(PMDD)」では、症状が苦痛であるというだけでなく、仕事面での作業能力が低下したり、対人関係の問題を引き起こしたり、などの社会的な影響が出ることも大きな問題になります。

 日本では、「月経前症候群(PMS)」や「月経前不快気分障害(PMDD)」についての正しい情報は少なく、また月経前のこのような症状の対処法も余り知られていません。

 あなたの症状も今は、生活に支障はないかもしれませんが、仕事や人間関係のちょっとした変化などがきっかけで、症状がひどくなることもあります。
 私の診療室を訪れた患者さんの中にも、「月経の10日前になると情緒不安定になり夫や娘に八つあたりしてしまいます。このままでは、家庭が壊れてしまうのではないかと不安になり・・」と訴えてこられた方がいます。日本でも、月経前不快気分障害(PMDD)で苦しんでいる方は珍しくないのではないかと思います。

 また、欧米では月経前に不快な症状が強く現れるタイプの人は、うつ病などを発症しやすいという報告もあります。
 そのため、日頃から精神面のケアには留意し、自分自身をリラックスさせる方法を身につけておくことが大切です。

●月経前の症状を緩和するSSRI

 月経前の不快な症状の中でも、憂うつ気分や不安などのこころの症状は日常生活に支障を来たすことが多く、問題になります。この憂うつ気分や不安などの改善には、抗うつ薬や抗不安薬が使用されます。なかでもSSRIというタイプのくすりは、月経前のこころの症状に対して、原因に迫るものとして注目されています。 SSRIはうつ病の治療薬として開発されたくすりで、うつ病の場合に脳内に不足しているといわれているセロトニンが、細胞内に再び吸収されるのを阻害することにより、セロトニンの作用を増強します。

 このSSRIが月経前の不快な症状に対して、ほかの抗うつ薬よりも優れた効果を発揮することが分かってきたのです。そして、このことから月経前症候群のこころの症状には、セロトニンがかかわっているのではないかと考えられているのです。しかし、現在日本で使用可能なSSRIには「月経前症候群」という適応症を持つ薬剤はありません。


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